第六章

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 ただ、聖女ラクリーアが被害者であっただけ、なんとか体裁を保つための調査を行ったようなものだろう。  組織としては、最初からカリノを犯人として、さっさと王城へ移送させたかったのだ。捜査本部を立てたのも、大聖堂側へ「きちんと調べていますよ」と見せつけたかったからだ。  きゅっと唇を引き締めていたカリノだが、それをゆるりと開いた。 「騎士様。わたしは斬首刑ですか? 絞首刑ですか? きっと聖女様と同じようにされるのでしょうね」 「カリノさん。裁判は刑を確定させるとともに、真実を明らかにする場所です。もしカリノさんが隠していることがあるならば、その場ではっきりと伝えてください」 「わたしが隠していることですか? 何もありませんよ?」  こてんと首を倒すカリノは、心に大きな壁を作ったように見えた。これ以上、踏み込んではならないと。  だが、フィアナだって罪のない人間を裁くようなことはしたくない。それが、組織ぐるみで行おうとしている内容であるならば、なおのこと。まして相手は、このように幼さが残る少女だ。 「カリノさんの捜し物が見つかりましたよ。それは、私が大事に預かっております」
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