第六章

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 カリノがひゅっと息を呑んだ。 「カリノさん。脅されているのではないですか? たまたまそこに居合わせ、それを目撃してしまったために、犯人にされているわけではないのですか?」  かさかさに乾いているカリノの唇は、小刻みに揺れている。 「わたし……わたし……」  少女の眦に涙が浮かぶ。  言葉を紡ぎ出そうと、心を奮い立たせている様子が伝わってきた。 「カリノさん……ここには、私しかおりません。カリノさんから本当のことを聞くために、彼もおいてきました」  はっとカリノは大きく目を見開いてから、つつっと一筋の涙をこぼす。 「わたし、聖女様を殺していません……」  かすれたような声でカリノがつぶやいた。  だけどフィアナは、ずっとその言葉を聞きたかったのだ。 「わかりました。私たちはカリノさんを信じます。すべては裁判で決着をつけましょう」  カリノがこくりと頷いた。そしてきょろきょろと周囲を見回し、声を低くする。その顔は、先ほど涙を流した少女とは思えないほど、凛々しいものだ。 「騎士様は、わたしの言うことを信じてくださるのですか?」 「それが真実であるならば、信じます」
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