第六章

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 カリノの青い目が不安そうに揺れている。 「わたし……」  「ゆっくりでいいです。あの日、何があったのか。教えていただけますか?」  フィアナの言葉にカリノは大きく頷いた。  ぽつりぽつりとカリノが話し始める。それはもちろん、フィアナも初めて耳にすることだった。  カリノは満月の夜になると自室を抜け出して、あの川辺へと足を向けていた。そこで聖女ラクリーアと聖騎士キアロと顔を合わせ、他愛もない話をして、寂しさを紛らわせていた。 「ラクリーア様と出会ったのは、たまたまなのです。それからなんとなく、満月の夜に外へ出るようになりました。特に約束をしたわけでもないのですが……」 「キアロさんも、その場にはいたのですか?」 「はい。お兄ちゃんを誘ったのはわたしです」  ここでカリノの素顔を見たような気がした。今まで「兄」と口にしていたキアロを「お兄ちゃん」と言った。できることなら、ここでキアロの情報も手に入れておきたい。 「キアロさんは、聖女様の専属騎士にという話もあったようですね?」 「……はい」 「ですが、それは叶わなかったと」 「はい。ラクリーア様が反対されたのです……」
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