第六章

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「そうですね。私から見ても、うらやましいくらいにお綺麗な方です」 「イアン様は、ラクリーア様の前の聖女様の専属でした。ですから、その……子を望めないそうです……」  言いにくいのか、恥ずかしいのか、カリノの視線は再び下を向く。  カリノが言いにくそうにしている様子が気になった。  だが、このくらいの年齢であれば、子を授かる行為を口にするのが恥ずかしいというのもわかる。 「イアン様がお綺麗なのはそれが原因であると、ラクリーア様がおっしゃっておりました。そして、それをお兄ちゃんには望まないと」  カリノの話を、フィアナを手早く頭の中で整理する。  男性でありながら中性的な魅力を持つイアンは、以前は聖女の専属護衛を担当していた。そして彼は子を望めない。  つまり、聖女との間に間違いがあってはならないように、処置をされているということだろうか。どこかの国の後宮にいる男性のように。 「……わかりました」  しかしフィアナはその考えの答え合わせをするつもりはなかった。  ただ、そういった処置が必要となるのであれば、ラクリーアもキアロも専属護衛について考えることがあったのだろう。
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