第六章

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「聖女ラクリーア様の専属護衛には、ほかの聖騎士の方が選ばれたと聞いております」 「そうですね。聖女様の専属護衛。それは、聖騎士にとっては名誉なことですから。そのようなことであっても、なりたいと思う人はいるようです」  イアンの大聖堂での立ち位置を見れば、その地位にあこがれを持ってもおかしくはないだろう。 「念のための確認ですが。聖女様には、四六時中、護衛が付き添っているわけではないのですよね?」  そうであれば、ラクリーアがあのような場で殺されるわけはないだろう。 「はい。基本的に護衛につくのは、人前に出るようなときと聞いております。いくら護衛といえども、ラクリーア様だってずっと誰かと一緒にいたら、息がつまってしまいますから」  となれば、やはりラクリーアが一人になる時間はあったということだ。だからといって、専属護衛を攻めるのはお門違いというものなのだが。  その彼が今、どのように過ごしているのかは確認していない。そこはフィアナの管轄外だ。
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