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大聖堂の巫女から話を聞くこと。カリノから話を聞くこと。その裏付けをとるために、イアンから話を聞いたこと。そこから、ラクリーアの護衛の話には発展しなかったのだ。
きっと専属護衛本人から、第一騎士団の騎士が話を聞いているものと思いたい。
「カリノさん。あの日、何を見たのか、教えてもらえますか?」
フィアナの言葉でぱっと顔をあげたカリノだが、かすかに唇を震わせてから、また下を向く。
「あの日は、満月ではありませんでしたよね?」
むしろ新月だ。月明かりのない暗闇の中、どうやって聖女ラクリーアを殺して切り刻んだのか。そこに、王太子アルテールが絡んでいるというのであれば、今のうちに確認しておきたい。
「たまたまです。眠れなくて、それで外に出ました」
「いつもと違って周囲もよく見えなかったのではないですか? 明かりは手にしなかったのですか?」
「はい。明かりを持つと、ほかの人に知られてしまいますから。こっそりと抜け出すときは、いつも明かりを準備しません。それに、新月だといっても星の明かりはありますし、少し過ぎれば目も慣れますから」
カリノの年齢であれば、暗闇への順応も早いのだろう。
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