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それから秘密の抜け穴をくぐって、敷地外へと出る。川を流れる水の音が次第に大きく聞こえるようになってきたのは、それだけ川に近づいてきた証拠でもある。
ここからもっと川辺に向かえば、いつもラクリーアとキアロと座って話をしている場所に着く。
ボソボソと人の声が聞こえた。
こんな時間、こんな場所に誰がいるというのか。
できるだけ足音を立てないように、ゆっくりと彼らに近づく。なぜか、その彼らが気になった。
ぼんやりとだが、その人物が誰であるかを確認できる距離まで近づいたとき、一人の身体が大きく傾いて崩れ落ちていく。
(何……? どうしたの?)
一人は倒れ、一人はそれを見下ろしていた。
だが、なぜその者が倒れなければならないのか。その原因をカリノはしっかりと見てしまった。
「お兄ちゃん……?」
カリノの言葉に、立っている人物が、身体を大きく震わせた。
驚いたようにカリノに視線を向けたその者の手の中には、血で汚れた短刀が握られていた。
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