第七章

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第七章

 カリノが王城に移送されて十日後。彼女の刑を確定するための裁判が開かれるという。  その間、フィアナは王都の宝石店で起こった盗難事件の担当となり、そちらをナシオンと共に調査していた。というのも、ここの宝石店が『怪しい』というたれ込みがあったからだ。事件そのものは第一騎士団が追っている。フィアナたちはむしろ、そのたれ込みが事実かどうかを調べていたのだ。  その間、新しい聖女が誕生したという話が、国内を駆け巡った。聖女ラクリーアは地方聖堂への巡礼の途中で事故にあい亡くなったということにされている。  どこもかしこも隠し事が得意らしい。  フィアナはカリノから話を聞くことのできた担当騎士とのことで、彼女の裁判で証言できるようになった。もちろんこれはイアンの差し金だ。大聖堂側からの依頼という形になっている。  裁判官は王族貴族の中でも、中立派と呼ばれるシリウル公爵が務める。
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