第八章

24/30
前へ
/224ページ
次へ
 そう言って司令室に勢いよく入ってきたのは、タミオスだった。彼もまた、大聖堂の件で振り回されている人間の一人だ。 「大聖堂に、火が放たれた。すぐに消火、人命救助に当たる」 「部長。大聖堂ですか? 王城ではなく?」  ナシオンの声に、タミオスが目を細くする。 「王城……? 火があがってるのか?」  開け放たれた窓から、燃えあがる炎が見えた。 「王城も? ちょっと待て。大聖堂から火の手があがったと俺は報告を受け、手の空いている者はそっちへ向かうように指示された。まずは、大聖堂に向かってくれ」 「王城はどうするんですか?」  ナシオンが声を荒らげる。 「とにかく今、他の者も呼び出し、すぐさま救助に当たるように指示を出す。王城には近衛騎士らが控えているから、彼らを信じるしかない」 「ナシオンさん。部長の指示に従いましょう。私たちは大聖堂に……」  誰もが、タミオスの言葉に従い、大聖堂へ向かおうとしたとき――。  ドーン! と、近くで爆発音が聞こえ、目の前が真っ暗になった。 **~*~*~**  わたくしは、隣国グラニト国の出身です。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加