47人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章
大陸の西側にあるファーデン王国が、太陽神ファデルからとった名前がつけられているのは、太陽神ファデルがファーデン王国の建国に尽力したとも伝えられているからだ。
そのため国を統治する王と、太陽神ファデルを信仰する聖職者たちの関係は、密なるものでもあった。
しかし時代の流れとともに、その二つの間には少しずつ距離が生まれ、今では王族を支持する者は王城に、聖職者を支持する者は大聖堂に集まるようになっていた。
それでも結婚は神の前で愛を誓うのだから、やはりファーデン国民の心には太陽神ファデルに対する信仰心が根付いているのだろう。ただ、信仰心と政治は別ものだと、そう考えているのかもしれない。
――ファーデン王国騎士団本部。
王城と同じ敷地内にありながらも、王城とは独立した建物。ここは本部と呼ばれている。
そこの会議室に騎士たちがずらりと並んでいるが、そこにいる騎士たちも騎士服を身にまとっている者だけではない。シャツにジャケットという、見た目だけでは騎士団所属と思えないような姿の者もいる。
「では、現時点において判明している内容について、説明する」
最初のコメントを投稿しよう!