牧場

　親戚のおじさんの牧場に遊びに来た。
(新鮮なお肉がたくさん食べられるぞ)
　そう思いウキウキしていた。
　お昼まえ。僕はおじさんに言った。
「お昼は牛肉が食べたいよ」
　おじさんはニヤリとし、応えた。
「じゃあ、牛を見に行こうか」
　おじさんとともに牛小屋までやって来た。
　牛がモウモウと鳴いていた。
「うひひひ。おいしそうなのいっぱいいるね」
　おじさんは言った。
「モウ。食べられたくないよ。モウ。死にたくないよ。モウ。殺されるの嫌だよ。モウ。そう言ってるぞ」
「ーー。」
　僕は気分を害した。
　おじさんに言った。
「……おじさん。やっぱり、ブタがいいや」
　おじさんとともに豚小屋までやって来た。
　ブタがブーブー鳴いていた。
　おじさんは言った。
「ブーブー言ってるぞ。食べられたくない、死にたくない、殺されるのはごめんだとブーブー言ってる。ブーブー言ってる」
「ーー。」
　僕は気分を害した。
　おじさんに言った。
「……ニワトリでいい」
　ニワトリ小屋までやって来た。
　ニワトリがコケーッコッコッコッと鳴いていた。
　おじさんは言った。
「ケッコウケッコウ、食べられるのはケッコウ、死ぬのはケッコウ、殺されるのはケッコウとみんな鳴いている。悲嘆に暮れている」
「ーー。」
　僕は気分を害した。

　ーー。

　僕は昼は野菜サラダを食べた。