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そんな態度がよくなかったんだろう。気がついたら前の職場に、私の居場所はなくなっていた。私が大きなミスをした時、助けてくれる仲間は誰もいなかった。私はあんなに、誰よりもちゃんと働いたっていうのに。
もう人間はこりごり。できるだけ人の息のかからない場所で働きたい。そう思った。
それに、書が好きで何となく続けてきたけど、もっと書くことを極めたくなったのもある。今までどんなにややこしい事情の招待状の作成もこなしてきた私だ。一歩上の文章術、すなわち文芸もこなせるようになりたいと、気がつけば考えるようになっていた。そんな時にトアルホテルの求人に出会ったのだった。
まさに、運命の出会い。
と、思ったのだが。
まさか、人間じゃないものに出くわしてしまうとは。
それは、トアルホテルに来て少しした頃のことだった。
「お別れ会の準備をお願いしたいのですが」
「かしこまりました」
「看板の内容は、「木谷仁様お別れ会」で。あとこれと、これとこれとこれを」
「はいはい」
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