ワダ先生のお手紙講座

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「あっ、なので、一応この部屋にはおまじないをかけておりまして。なのでワダ先生が取り憑かれるとか、そういうことは一切ないと思います。そこはナガイ、がんばってますんで」 「えっ……と、ナガイ、さんが、がんばってるということは?」 「はい! ナガイ、このホテルのおまじない全般も担当してます! 多分間違ってないと思います」 「多分って……」  大丈夫か。ナガイ、がんばりだけではどうにもならないこともあるぞ。 「なので、よろしくお願いします」  ナガイは少し声を落として、私に耳打ちをした。 「大丈夫です。お客さん、お話聞いてあげたら、そのうちいなくなりますから」 「そのうちって、いつ」 「大体、お別れ会が終わったら、かなっ?」  自信満々だけど全く説得力がない。 「あの〜」  びくん。木谷さんだ。 「申し訳ありませんが、お願いできます……?」 「あっ」 「あっ、もちろんですとも!」  私の代わりにナガイが元気よく快諾した。 「あっ、じゃあ僕お邪魔ですよね? ですよね? では、失礼しまーす。あっ、ワダ先生、軽食お夜食何なりとお申しつけください!」  そう言い置いて、ナガイは元気に出ていってしまった。
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