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「うーん……三人くらいしか入れないな」
男子一同が首を捻る。
「じゃあさ、数人で同時に詠唱すればよくね?」
「ああ、人数で魔力量を補うってことか!」
こういうくだらない事にだけ、どうして本気で頭を使うのか。
そう問われればもう、男子だから、と答えるしかない。
かく言うおれもそのひとりなのだった。
「じゃあおれは魔力量が多いから、徹底的に魔力供給にまわる。円環構築とコントロールに自信がある奴はそっちに集中して、一つの円環を維持して発動しよう」
おれがそう提案すると、他のみんながニヤッとして頷いた。
で、結果的に言えばなかなかにデカいプールの囲いができた。これなら、男子全員が入っても窮屈じゃない。
「ここに水を満たす……って、実はものすごく難しくないかな?」
また一人疑問を呈した。で、水系統の魔術を使ってプールに水を充そうとする。しかし湧き出た水は溜まるどころか地面に吸い込まれてしまう。
「そっか。土に水が染み込んで、留めて置けないのか」
「当たり前っちゃ当たり前だよなぁ」
「結構デカいしな」
例え水を満たすことができたとしても、たえず魔力を供給して水を発生させ、それを維持しないといけない。
で、おれたちはレオに視線を向けた。
レオは制服の上着を脱いで横に置き、地面に胡座をかいて座り、片腕を立ててそこに顎を置いて、静かにおれたちを見ていた。
「……何?」
「いや、なんかアドバイスが欲しいなって」
レオは眉根をあげて、興味なさげに言った。
「エンチャント魔術で常に水が湧き出るようにする。土壌の硬度を上げて水分を吸収し辛くする。努力して一度水を満杯にして一時停止した状態を維持する。地中から水を引き上げてつねに供給できるようにする。やり方は色々ある」
おれたちの表情は一様に曇っただろう。
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