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「まあその辺は本人次第だからなぁ。別に俺はお前の真面目なとこ嫌いじゃないけどさ」
「僕は父さんと違って紳士なんだ」
「ああ、そうだな。あんな父親がいるのに、たしかにお前は紳士だよ」
うんうんと適当に頷きながら、持っていた酒瓶を煽る。やっぱりクソキツい。俺でもすぐに酔っ払ってしまいそうだ。
最近は遊び歩く時間が無くて、すっかり酒に弱くなってしまった気がする。
シエルは俺の手から酒瓶を奪って、同じように煽った。
「だいたい父さんに関係ないじゃないか。僕が枯れてるって?そんなこと普通息子に聞く?」
「知らん。俺には父親がいないので!」
枯れてるって、何のことだ?
酔っ払いの発言はよくわからない。
「お前のそれは飾りか?って。最近はいつ働いたんだ?って……本当に何考えてんだよ、父さんは!?」
「いや、俺に言われても解らんが。なんだ、飾り?でもまあ、飾っとけばいいんじゃないか。飾るものがないよかマシだろ。飾ってるだけで働けるならそれでいいじゃないか」
なんか、自分で何言ってんのかよくわかんない。シエルの話もわかんない。
部屋に入って十数分。もう帰りたい。
こういう時は、さっさと相手と同じように酔っ払うに限る、と思って、とりあえずその辺にあった未開封の酒瓶を手にした。
中身はこれまたドギツいスコッチだった。
グッ、と飲み込んで、再び管を巻くシエルに向き合う。奴はもう、完全に目が据わっていた。
「僕は父さんと違って慎重なんだよ。紳士だからね。だから、タイミングとか雰囲気を大事にしてる……だってそういうもんでしょ?父さんの方がおかしいんだよ」
「まあそりゃ、何事にもタイミングはあるべきだよな。急いては事を仕損じるって言うし」
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