虚飾の連帯

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「ここは……食事処でしょうか?」 「そうだな、いわゆるキッチンと食堂というものだ」 「キッチンだと?」 「失礼、足利殿の時代にはない言葉だった。聖徳太子殿の言う通り、食事処という意味です」 「なるほど、つまりは……」  足利尊氏がキッチンに入ると「やっぱりな」とつぶやく。当たり前だが、包丁をはじめ凶器にも使えそうなものが並んでいた。  龍馬はため息をついた。これは厄介なことになったぞ。個室の凶器だけであれば、事件が起きても手荷物検査をすれば誰の凶器が使われたか分かる。しかし、キッチンにも凶器になりうる物があるとなると話は変わってくる。 「他の皆さんの同意を得て共同管理すべきでしょうね」と聖徳太子。 「どうやら見るべき場所は見たようだ。広間に戻りましょう」
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