虚飾の連帯

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 広間に戻るとそこには文化人グループのアインシュタイン、ダーウィン、ナイチンゲールがいた。 「こちらに近寄らないでくださる? あなた達に殺されたくないわ」 「ナイチンゲールさん、その心配はありませんよ。ルールにこうあったでしょう? 『殺人があった場合、一日バレなければ勝者となる。バレたら敗者になる』と。こんな大勢の前で殺人をするような人はいませんよ」  聖徳太子の言葉に安堵したのか、ナイチンゲールの顔から警戒心が消えた。「それもそうね」 「しかし、織田信長、黒田官兵衛の二人に対して心を許すのは賢明ではありませんな。一人行動をしている者たちもですが」アインシュタインが静かに言う。 「ここは一つ一時休戦としませんか? 敵が多いと神経が参ってしまう」「賛成です」「じゃあ、決まりですね」  龍馬はこの流れに満足していた。一方で懸念も残る。軍師の黒田官兵衛の計略によって裏切り者が出れば、油断した者が殺される。龍馬はこのデスゲームの本質を理解した。表面上では信頼しあう一方で、いつ裏切られるか分からないという恐怖がつきまとうのだ。この心理戦を制した者が勝者となる。果たして自分は生き残れるだろうか。龍馬には一抹の不安があった。次の瞬間だった。悲鳴が響き渡ったのは。
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