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現場に着くと、そこには腰を抜かした北条政子と織田信長、黒田官兵衛の姿があった。織田信長の手には刃物が握られている。何があったかは明白だった。
「ああ、坂本様! 助かりました。この二人が私を襲ってきたのです!」
「やっぱり、お前たちが最初に事を起こすか」と足利尊氏。
「誤解だ! この尼将軍が襲ってきたから凶器を取り上げたまで」
織田信長は怒りのあまり我を忘れ、拳を握っている。
「信長様の言う通り。こやつ、油断も隙もない」
「二人の証言は嘘ですね。二人を襲えば、もう一人がすぐに犯人を指摘できる。それに気づかない人はいないでしょう?」龍馬は静かに述べた。
そう、このデスゲームは基本的に団体行動をすべきなのだ。龍馬の思考を遮ったのは足利尊氏の言葉だった。
「しかし、残念だったな北条殿。もし、織田信長が襲ってきたときに刃物を取って刺せば、殺人ではなくて正当防衛になったのに」足利尊氏は口惜しそうだった。
「人が襲われたというのに、なんてことを!」
「そこまでだ。言い争っても事実は変わらない。このことはアインシュタイン達にも情報共有させてもらう。『織田信長と黒田官兵衛は油断ならない』と」
龍馬はこれ以上ヒートアップしないように無理やり会話を終わらせる。すると、向こうから聖徳太子がやって来た。状況を把握したらしく織田信長に詰め寄る。
「なぜ、和を乱すのですか。ゲームマスターを指摘できれば、一人も犠牲にならずにここから出られるのですよ」
「ぬるいな。その考えがお前の身を滅ぼすだろう」
「何を!」
聖徳太子が拳を振り上げると、即座に織田信長がねじ伏せる。「ただの政治家なんて、凶器がなくても殺せるわ!」
聖徳太子は織田信長の手を振りほどく。織田信長は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに消えた。聖徳太子の力が思ったより強くて驚いたのだろう。
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