偉人によるデスゲームの始まり

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 殺し合い。動乱の幕末を生きた龍馬にとっては驚くことでもなかったが、中にはそうでもない人もいるだろう。龍馬の推測が正しければ、ここにいるのは様々な時代の偉人と呼ばれる人物たちだ。殺し合いと無縁な人の方が多いかもしれない。 「さて、ゲームであるからにはルールがある。言葉で伝えることもできるが、覚えるのも難しいだろう。手首にあるデバイスを見て欲しい」  龍馬が手首を見るといつの間にかブレスレットがつけられていた。ブレスレットからはスクリーンが出ており、小さい文字で何かが書かれていた。 ルールその一。一日ごとに一人だけ死ななければならない。殺して一日ばれなければ、勝者となる。勝者には「歴史を修正する権利」「名誉」「膨大な知識」のいずれかが与えられ、元の時代に戻ることができる。また、敗者――つまり犯行がばれた者及び被害者――は異次元に飛ばされ、永遠に脱出することはできない。 ルールその二。用意された食料は5日分。それが尽きるまでに参加者に紛れているゲームマスターを論理的に指摘しなければならない。  スクリーンに書かれた文面はそれだけだった。なるほど、シンプルだ。龍馬はそう思うと同時に、ブレスレットの仕組みが気になった。どのようにできているのか観察するためにブレスレットを外そうとすると、「坂本龍馬、やめなさい」と不気味な声に止められた。
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