虚飾の連帯

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虚飾の連帯

 龍馬たちは最初に個々人に用意された部屋の設備を見ることにした。しかし、ドアノブを回しても開く気配がない。 「くそ、どうなっているんだ!」  足利尊氏はドアを蹴飛ばす。聖徳太子が手首のデバイスの情報をじっくりと見るとあるページで手が止まった。そして「顔認証なるシステムで開くようです」とぽつりと言った。 「顔認証?」と足利尊氏。  龍馬もデバイスで顔認証について調べると「個人の顔がカギになっている」と驚きの情報が載っていた。顔がカギになっている! なんと不思議なシステムだろうか。確かにドアのそばにはカメラと思しきものが設置されている。ここは龍馬に割り当てられた部屋だ。カメラに向かって顔を近づけると、ガチャと音を立ててドアが開く。なるほど、面白い。 「さて、部屋の中はどうなっているかな?」  足利尊氏が先陣を切って部屋に入るが、そこに広がっていたのは無機質な景色だった。テーブルにベッド、シャワー室にトイレ。最低限の設備しかない。  足利尊氏が部屋の隅に置かれた小さなロッカーを開けると、中には数種類の道具が並んでいた。手袋、ハンマー、ナイフ、ワイヤーそして何かの薬瓶。どれも殺人に使えそうなアイテムばかりだ。 「どうやら殺しあうための道具が個室に備えられているようですね。和を重んじる私としてはゲームマスターの異常さに憤りを隠せませんが……」 「デスゲームだからな」龍馬はボソッと言う。 「いつまでもここにいても意味がない。さっさと他の部屋に行くぞ」
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