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「よく絡まれたりするの?」
「今日みたいにしつこいのは初めて」
葉月くんのこの質問は、瑛里華への質問。
だから黙っていた。
なのに、葉月くんはわたしの方をじっと見たまま黙っている。
「何?」
「藤代が答えるのを待ってる」
「わたし? わたしは、全然絡まれたりしない」
だって「じゃない方」だから。
「明日も一緒に食べようよ。俺だけだと役に立たないけど、勇がいたら大概のやつは寄って来ないよ。もちろん、嫌じゃなければの話だけど」
「嫌じゃないよ。一緒に食べよう。真優、いい?」
「うん。わたしはいいよ」
「良かったら、メッセージのグループも作らない?」
瑛里華がにこにこしながら提案した。
「いいね」
葉月くんが賛同する。
「真優は?」
「いいよ」
って言うか、嬉しい!
「勇もOKだろ?」
「おう」
「じゃあ、グループ作るね」
瑛里華がグループを作ってみんなを招待していく。
「藤代も」
「あ、はいっ」
ポケットに入れていたスマホを取り出そうとして、地面に落としてしまった。
慌てて拾ろおうとしたところを葉月くんが先に拾った。
「あの時と同じだ。受験の日」
「……覚えてた?」
「覚えてるよ。受験の日に会った」
「うん、会った」
「同じクラスにいたからびっくりした」
「わたしも驚いた」
驚いた。
覚えてるなんて思ってもみなかった。
「なぁ、オレ腹減った。食べながらしよーぜ」
「ごめん、食べよう」
勉強の話や、部活の話をしながら、4人でお昼を食べた。
明日も一緒に食べる約束をしてしまった。
4人でメッセージグループができた。
目が覚めたら、朝だったとかいうオチいらないからね。
瑛里華も、いつになく楽しそうだった。
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