4人グループ

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葉月くんと池田くんと瑛里華と、4人でお昼を食べるようになって、すぐに噂は広まった。 『葉月と堀北はいつも一緒にお昼を食べている』 池田くんも一緒だし、わたしもその場にいるんだけど? みんなにモブは見えてないのか、まるでいつも2人きりのような言われよう。 だから朝、瑛里華と葉月くんが並んで登校している場面に遭遇して、話しかけていいのか迷ってしまった。 普通に、「おはよ」と言って話しかければ済むことなんだけど、躊躇してしまう。 邪魔しちゃ悪いな、とか考えてしまう。 2人は何を話しているのか、瑛里華の笑い声が時々聞こえて、葉月くんが照れたような顔を向けている。 ずっと後ろにいたらストーカーっぽいよね…… でも、すっかり声をかけるタイミングを失ってしまい、距離を保って後ろをついて行ってる状態。 「はよっ」 わたしより先に、2人に声をかけたのは池田くんだった。 瑛里華と葉月くんが振り向く。 「真優! おはよう。池田くんも、おはよう」 瑛里華は一番にわたしに声をかけて笑顔を見せてくれた。 「おはよう」 返事をした後視線を感じて、横を向くと、池田くんがわたしをじっ見下ろしていた。 「おはよ」と言うと、短く「おうっ」とだけ返された。 「藤代、いつから後ろにいた?」 葉月くんがあわててるのがわかる。 まずい…… ストーカー風だったことは言えない。 「さっき。ついさっき」 「そっか。だったらいいんだ。おはよう」 葉月くんがほっとした表情を見せる。 これは、瑛里華との話を聞かれたくなかったという意味だ…… やっぱり瑛里華は…… 途中まで頭に浮かんだ言葉を打ち消した。 今思ったやつ、なんかちょっと、感じ悪い。 「瑛里華、わたしのことグーで殴って!」 「え? わたしが? 何で?」 「お願い」 「んー……えいっ」 「ひゃあっ! それ、頭突き」 「へへ」 「何やってんの……」 池田くんの冷めた口調に、瑛里華が明るく答える。 「頭突きだよー」 「意味わかんねぇ。なぁ、一翔?」 「あーうん、でも楽しそうだった」 「じゃあ、一翔にはオレがやってやろうか?」 「ごめん、今の嘘だから止めて」 「ふうん」 良かった。 こーゆー方がいい。
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