4人グループ

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「あの噂、どう思う?」 図書館前で、4人でお昼を食べていると、まじめな顔で葉月くんが言った。 噂…… 『葉月と堀北はいつも一緒にお昼を食べている』ていう、あの噂だよね? どうって言われても…… 「ちょっと、怖いかなぁ」 瑛里華が不安そうな顔を見せる。 怖い? 葉月くんのフアンに睨まれるってこと? 「オレは気にならない」 池田くんは表情も変えず、そう言い放つと大きなおにぎりにかぶりついた。 まぁ、池田くんとわたしはモブ扱いされてるもんね。 「藤代は?」 「わ、わたし? えっと、当人たちがいいなら、別に……」 わたしにどうこう言う権利はないから。 「正論」 池田くんがボソッと言って、その横で葉月くんは笑っている。 「このメンバーなら1番とれるかもしれない」 「かもな」 1番? 「わたしは苦手なんだけど?」 瑛里華が控えめに文句を言った。 「そこは、残りの3人でカバーするから」 「ごめん、何の話? 1番って?」 「何のって、オリエンテーションの肝試し」 「肝試し?」 「真優、何の話だと思ってたの? 来週のオリエンテーション、夜に肝試しがあるでしょ? さっきからその話してたよ?」 聞いてなかった…… 「その肝試しに『一緒に回った男女のペアは呪いで結ばれない』って噂があるんだって」 「う、胡散臭い」 「昔、Aくんをすごく好きなB子ちゃんが、肝試しでペアになる予定だったのを、C子ちゃんが妨害して、AくんとC子ちゃんがペアになって肝試しに行くことになって、それを恨んだB子ちゃんが、AくんとC子ちゃんを呪ったんだって。それ以来、ペアになった男女はB子ちゃんの呪いで結ばれないって」 朝は肝試しのことを知らなかった瑛里華がやけに詳しくなっている。 「AはB子とC子どっちを好きだったんだろ?」 池田くんが真面目な顔をして言った。 「それはわかんない」 「単にAがヘタレだったって話か。肝試しのペアになれなかったくらいで呪うとかありえねー」 「つまり、ここにいる4人はそんな呪い信じてないってことでいい?」 葉月くんが笑いながら言った。 「昼間はバーベキューで、夜は肝試しをするのが毎年決まってて、この肝試しで一番早く課題をクリアしたグループは、最終日の片付けを免除されるんだ」 この学校にお兄さんが2人いるから、池田くんはいろいろ詳しい。 「先生たちめちゃくちゃ怖くて、毎年誰かが泣いてるって言ってた」 先生達、そこまで真剣にやらなくてもいいのに……
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