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あの時の願いが叶ったのか、葉月一翔くんとは同じ青葉高校の、それも同じクラスになることができた。
葉月くんは、背はそんなに高くないけれど顔面偏差値が高くて、いつも誰かに囲まれて笑ってる、そんな人だった。
クラスの人達ともすぐにうちとけて、もう既にカラオケに数回行ったという話も聞いた。
女子にも人気で、まだ高校に入学して間もないというのに、他のクラスから見にくる子もいる。
この間、トイレでばったり会った同中の子には、「藤代さんのクラスに葉月くんているでしょ? 中学の頃からモテてたらしいよ」なんて聞いてもいないのに教えられた。
健康カードを集めていると、葉月くんがその人懐っこい笑顔をわたしに向けてくれた。
「手伝いいる?」
「ううん、大丈夫。ただ集めてるだけだから」
「なんだ、残念」
残念……って、日本語の使い方おかしいよ。
それに上目遣いに笑顔とか反則でしょ?
まぁ、こっちは立ってて、向こうは座ってるわけだから、上目遣いになるのは仕方がないんだけど。
こういうところに、みんなキュンとかしちゃうんだ。
わたしもドキッっとしたけどね。
健康カードを集め終えて、教卓の上に裏返しで置いてから、飛んだりしないように何か上に重しになるものがないかとキョロキョロしていると、瑛里華が陶器でできた干支の置物を上に置いた。
「こんなのどこで見つけてきたの?」
「窓際に飾ってあった。昨日、わたしも使ったから。木崎先生のらしいよ」
「ありがとう」
「真優が困ってるのは見過ごせませんよ」
「何でそんな言い方?」
「意味はなーい」
2人で笑いながら席に戻った。
男子がみんな瑛里華を好きになるのは仕方ない。
葉月くんも、瑛里華を好きになっちゃうかな……
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