4人グループ

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4人グループ

午前中の授業が終わると、まだ教科書を片付けている途中のわたしのところへ、瑛里華が笑顔でやってきた。 「真優、お昼どこで食べる?」 「嬉しそうだね?」 「お腹すいてるから~」 「図書館前がいいな」 「あそこ好きだね」 オープンキャンパスで来た時、入学したら図書館前のスペースでお弁当を食べてみたいと思っていた。 高校に入ってからいろんな夢が叶っている。 「どこでお弁当食べてもいいとか、青葉高校って、そういうとこいいよね」 「校則もゆるいもんね。わたしのこの髪の色も先生に何も言われない」 「え? 地毛、なんだよね?」 「地毛だよ。でも中学の時は地毛証明出してても、時々知らない先生に注意された」 「それってひどいね」 「だからこの高校入ったんだぁ」 「わたしもここに入れて良かった。瑛里華にも会えたし」 テーブルの上にお弁当を広げながら瑛里華が言った。 「真優の隣、葉月くんだね」 本当だったら葉月くんは瑛里華の隣だった。 「そのことなんだけど、瑛里華は今の席、どう?」 「どうって?」 「実はね――」 クジのことを話そうとした時、テーブルの上に2つの影が落ちた。 「1年? かわいいね。名前何て言うの?」 見るからに1年じゃない、大きな男子が立っている。 「堀北……」 「下の名前は?」 「……瑛里華」 「あの――」 「瑛里華ちゃんじゃない方には聞いてないから」 「俺らバレー部なんだけど、マネージャー探してるんだよね。瑛里華ちゃんみたいな子がなってくれたら、練習もがんばれるんだけどさ」 「部活には入る気ないので」 「なーんで?」 「理由は、個人的なことなので言う必要ないと思います」 「すみません、瑛里華はやる気ないみたいなので、他をあたっていただけませんでしょうか?」 「だからー、瑛里華ちゃんじゃない方には聞いてないから」 いわゆる不良っていうわけじゃない。普通の生徒なんだけど、背が高いし上級生だから怖く見える。 周りに先生がいないか見渡したけど、生徒しかいない。 それにこっちを見てる人もいなくて、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。 こうしている間にも、「どこ住んでるの?」とか「彼氏は?」とか、瑛里華は質問攻めにあっていた。 瑛里華は適当に受け流していたけれど、そういうのを察してどこかに行ってしまう気配もない。 困っていると、葉月くんと、同じクラスの背がやたら高い池田くんが、その人たちの後ろに立った。 先に声をかけたのは池田くんだった。 「先輩、何やってんですか? その子ら、オレのクラスの子なんですけど」 「お前、誰だよ?」 「昨日、バレー部に入部届け出した者です」 「なんだ1年か。今俺らが話してるんだからあっち行けよ」 「先輩、そんなこと言って大丈夫ですか?」 池田くんの隣にいた葉月くんが明るく話しかける。 「何だ? お前もバレー部かよ?」 「いえ、違いますけど、こいつとは友達で」 「だったらまとめてひっこんでろよ」 「そういう言い方、池田先輩嫌いなんじゃないかな、ってちょっと思ったりしたんですけど」 「池田って……」 「3年の池田義正と2年の池田基樹はオレの兄貴です。嫌がる1年をナンパしてたって伝えときます」 「あ、いや、違う。ナンパじゃない」 「じゃあ、何ですか?」 「いやいやいやいや、絶対ナンパじゃない」 「世間話」 「うん、世間話してただけ」 「もう、2人に近づかないでください」 「近づかない。話かけないから」 先輩が2人ともいなくなるのを見送ると、葉月くんはにっこり笑った。 「俺らも、ここで食べていい?」 「どうぞ」 返事をしたのは瑛里華だった。
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