平穏な日々に訪れる変化

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「なんか俺のこと疑ってねぇか?会社案内させるためだけに今のセリフ言ったかと思ってるだろ」 「げ、心の中読まないでくださいよ」 「図星かよおい。俺のことそんなふうに思ってんのか百瀬」 整った顔立ちの笠井さんに距離を詰められ、思わず1歩後ずさる。 確かにみんなの言う通りかっこいいとは思うが、眉間に皺を寄せるその姿は私から見れば恐ろしい。 怒らせたらいけない先輩、それが私にとっての笠井さんだ。 この距離感を羨ましく思う女性社員のみなさんに伝えたい、私は今完全に詰められているだけだと。 「俺がそんなリップサービスすると思うか?」 「思いません⋯」 「だろ?そういうことだよ」 笠井さんは自分にも部下にも厳しい一面があるが、その分褒めてくれる時の言葉の重みもすごく大きい。 この人の言葉に嘘はないと分かっているからこそ、褒められた時の嬉しさが何倍にもなることを私は知っている。 指導されるたびに、もちろん反発心がなかったかと言われたら嘘になるが、その分褒めて貰えた時の嬉しさは計り知れなかった。 1年間そうやって教えて貰ってきたからこそ、笠井さんは本当に私を信頼してくれているんだろう。 「ご期待にお応えします!」 「うん、頼んだぞ百瀬」 私にヒラヒラと手を振って自分の席に戻っていく笠井さんの背中を見つめていると同僚のエンジニアたちが私に近づいてきた。 羨ましさを帯びた視線が私に突き刺さりなんとも言えない感覚に陥る。
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