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華乃子ちゃんはプログラマーたちが比較的集まって仕事をするスペースへと移動していった。
席が決められているわけではないため、私たちシステムエンジニアはいろんな場所で仕事をしている。
プログラマーたちはモニターなどを多数使用するため固定の席というものが与えられているが、自分のパソコンを使って作業することも可能なためかなり自由度が高い。
「百瀬。ちょっといいか?」
「はい」
私を呼んだのはプログラマーたちをまとめるチーフである笠井圭哉さんだ。
28歳という若さでチーフに抜擢された笠井さんはとても優秀でかなり期待されている人物らしい。
さらには切れ長の瞳に黒い短髪を一部かき上げたクールな容姿も相まってかなりモテるらしいが、彼女を作る気はないとのことだ。
こんなにかっこいいし仕事もできるのに女っ気は全くないためもはや好きな相手は同性なんじゃないか、なんて噂もあるらしい。
「どうしました?」
「今日クライアントに提出する日だよな?頼んだぞ」
「分かってますよちゃんとやります」
「まぁそこは心配してねぇんだけど。そういえば休み明けから新しいシステムエンジニアのチーフがやって来る」
以前ここでチーフをしてくれていた方は少し前に仕事を辞めており、その間はチーフ不在だったため笠井さんが兼任してくれていた。
ただでさえでも忙しい人だというのに不在期間はこちらのことまで気にかけてくれて本当に助かっている。
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