平穏な日々に訪れる変化

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「今までありがとうございました笠井さん」 「一生の別れみたいな言い方すんな。ま、多少仕事が減って助かるがな」 「口、悪いですよ。普通に話せないんですか」 「あいにくこれが俺なんだ。もう慣れろ」 笠井さんは私が入社したばかりの時に1年間指導係をしてくれていたため、このような関係性になっている。 他の同期や女性社員は私のことを羨むが私には周りのみんなへの態度の方がよっぽど優しくされていると思う。 そもそも笠井さんは積極的な女性が好みではないらしい。 そのため女性社員からの熱い眼差しやアプローチには全く興味がないとのことだ。 私がここに入社した当初はプログラマーとしての採用だったため指導係が笠井さんだったが、仕事をしていくうちに彼がシステムエンジニアとしての才能を見出してくれて私を推薦してくれた。 おかげで今は楽しくやりがいを感じながらシステムエンジニアとして働けているため笠井さんには感謝してもしきれない。 今でもこうして気にしてくれくれるため私にとってはいつまでも尊敬する先輩だ。 「どんな方がいらっしゃるんです?」 「あー⋯⋯歳は俺と同じ28で仕事はできる奴、それは保証する」 「なんか、歯切れ悪くないですか?」 「まぁ女性社員の取り合いが始まって修羅場にならねぇことを願うしかないな」 「え?」
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