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どういう意味かあまり分からないが、女性社員の取り合いで修羅場になるくらいイケメンがやって来る、ということなのだろうか。
そもそもこの口調からするに新しく来るチーフのことを笠井さんは知っているということになる。
「元々知ってる人なんですか?」
「あ⋯⋯⋯まぁな。すげー知り合い」
「へぇ、そんな人がいらっしゃるんですね。一緒に働くの楽しみじゃないんですか?」
「まぁ、いいやつではあるんだけど、チャラいというか。コミュ力高いし顔もいい、そしてモテる。ただあいつといるとめんどくせぇことに巻き込まれるからな」
笠井さんの言う"めんどくさいこと"はほぼ女性関係のことで間違いないだろう。
過去に何があったか知らないが笠井さんにとってはあまりいいことではなさそうだ。
「休み明け、そいつが来たら百瀬が会社案内してやってくれ」
「えぇ!なんで私なんですか!」
「百瀬を1番信頼してるからだよ」
こういうセリフをサラッと言えてしまう所が笠井さんのズルいところだ。
尊敬している先輩にそんなこと言われてしまえば、嬉しいに決まってるし、嫌でもやる気が出てしまう。
(私の扱い方、分かってるなぁ⋯⋯)
さすが1年間指導係をしてくれていただけある。
私がどんな言葉をかけられればやる気が出るのか既に熟知した笠井さんにとって、こんなセリフ朝飯前なんだ。
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