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「どんな陽葵ちゃんだって可愛いし好きだから。全部見せてね」
「うん。ありがと」
会社までの道のりはそんなに長くないため、私達が手を繋いで歩ける時間というのは限られている。
それでも少しでも手を繋いで歩けるその幸せを噛み締めながら毎日過ごしていた。
だんだんと会社が近づいてきたため私たちは絡めていた指を離す。
触れていたお互いの体温が離れていき、名残惜しさを感じつつも私たちの指先は空を切った。
「今日の服、前俺が言ったことちゃんと覚えててくれたんだね」
「どっかの誰かさんが嫉妬で寝かせてくれなかったからもう同じことしないために学習したんですー!」
「俺的にはこんなに肌出して身体のライン出るノースリーブもあんまり会社では着て欲しくないけどね。陽葵ちゃんの全部は俺のものなのに」
「だって暑いんだもん。なるべく涼しい格好したいんだよ」
「ま、今度はノースリーブ着たら見えちゃう所に俺のものっていう痕を残すからいいよ。そしたら俺の前でしかノースリーブ着れないもんね」
そう言って笑う理玖くんの瞳の奥は全然笑ってなくて、なんならそれを本気で言っているように感じて怖い。
拗らせすぎているのか理玖くんの私への溺愛は若干危ない方向に進んでいる気がする。
(理玖くん本当にやりそうなんだよな⋯⋯)
「そんなことしたらしばらくえっちしないからね」
「え、それは無理。ほんとは毎日したいくらいなのに」
「毎日なんて無理!身体もたないし死んじゃう」
「なら毎日しない代わりに俺に痕残されても我慢して」
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