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主導権がいつの間にか握られており、なぜか私が交換条件を出されている。
理玖くんの方が悔しいが1枚上手だったようだ。
(こうやって素直に自分の気持ち言ってくるのが理玖くんのずるいとこなんだよなぁ)
はっきり気持ちや想いを伝えられるとその素直さや可愛さにすっかり絆されてしまう。
惚れた弱みというやつなのだろうか。
「今日も仕事頑張ろうね」
「陽葵ちゃんがいるから俺は頑張れるよ」
会社に着いた私たちはいつものように社員証をかざしてセキュリティを通りIT部門の5階へと向かう。
フロアに着けば私たちはただの上司と部下になるだけだ。
理玖くんは出勤して早々にプログラマーチーフである笠井さんの元へと向かった。
会社の中で私と理玖くんとの関係を知っているのは同期である華乃子ちゃんと唯斗、そして理玖くんの幼なじみである笠井さんだけだ。
華乃子ちゃんや唯斗は相談を乗ってもらっていたこともあり、しっかり報告すると2人とも自分のことのように喜んでくれた。
今度こそ大切にしてもらいなさいよ、と力強く華乃子ちゃんには祝福してもらえた。
唯斗は私の行動を祝福してくれたと同時に、自分もいよいよ覚悟を決める必要があることを悟ったようで最近は分かりやすく華乃子ちゃんにアピールしている。
私自身はそれを密かに応援しており、ちゃっかり華乃子ちゃんがそれに気づかないかな、なんて期待していた。
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