プロローグ

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大学1年生の時、私には2歳年上のかっこよくて大好きな彼がいた。 すごく優しくて大切にしてくれて、勉強もできてみんなの人気者でそんな彼が私はすごく大好きだった。 だけど彼が大学を卒業して少し経ってから、私たちは別れた。 大好きだった彼を振ったのは───私だ。 それなのに久しぶりに再会した彼は変わらず私に微笑みかけて、変わらず甘い言葉を囁いた。 忘れかけていた彼からの愛が思い出され、心が乱され絡めとられていく。 「陽葵ちゃん変わらず可愛いね。全然変わってない」 「ち、近い、です⋯⋯」 「ねぇ、もう1度俺に愛されてみない?」 私を見つめるあの頃と変わらない甘い視線は私の心を揺さぶりどんどん乱していく。 何度も囁かれるその愛は離れた心をもう1度繋ぎ止めようとするようだった。 幾度となく愛の言葉を囁く彼の隠された気持ちを、私はまだ知らない───。
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