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"おはよう陽葵。今日も仕事頑張ろう"
"健二くんおはよう。行ってくるね。健二くんも頑張ってね"
最近お互いが忙しくてなかなか会う機会がないが、毎日のようにこうして連絡を取り合っている。
彼から送られてきたメッセージを見て無意識のうちに微笑んでいたようで、画面を閉じ暗くなったディスプレイにそんな自分の顔が写って驚いた。
緩んだ顔を引きしめ直し私はいつものように会社へと向かう。
私が働く株式会社forefrontは大手ITベンチャー企業で数多くの事業に取り組む会社だ。
その中のIT部門には私のようなシステムエンジニアやプログラマーなど多数の役職が存在している。
私たちシステムエンジニアが企画、設計したものをプログラミングしてくれるのは同じ部門にいるプログラマーで、私はその前段階の仕事を主に担当していた。
システムエンジニアの仕事はとても忙しいがやりがいもあり、楽しく仕事はできている。
難点があるとしたら忙しくて残業が結構多いことだ。
逆に彼は営業のためお客さんに合わせて仕事をすることもあり、休みも合わないため最近は会う時間をあまり確保できていない。
同棲の話も一時は出たが、もう少しだけ1人で暮らしてからにしよう、と健二くんに言われたのが半年くらい前のことだ。
そろそろ考えてもいい頃だとは思っていたため、近々のタイミングで話そうと考えている。
5センチ程のヒールを鳴らしながら街を歩く私は人から見れば仕事ができるキャリアウーマンに見えるだろう。
実際のところはそこまで到達していないのが現状だ。
毎日通い慣れた通勤コースは変わらない街並みで朝から少しだけいい運動となる。
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