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会社自体はとても巨大でここに何千人も働いている。
本社で働く人物は全員社員証の携帯が義務化されており、それがエントランスのセキュリティを通るための証明だ。
大企業ともなるとエントランスには警備員さんが常駐しており、受付には受付嬢がいた。
私たちIT部門は5階で働いており、そのフロアには様々なスペースが完備されている。
ディスカッションスペースから休憩スペース、更にはカフェスペースやあちこちにソファやテーブルが設置されておりどこでも仕事ができるようになっていた。
こういうベンチャー企業ではあるあるなのか、かなり自由な企業でパソコンさえあればどこでも仕事ができるような空間だ。
そもそも私たちエンジニアはコミュニケーションが大事な職種なため、こういった形でそれをサポートしてくれるようになっている。
いつものように出勤した私はカフェスペースでアイスのカフェオレを準備していると後ろからいきなり声をかけられた。
「おはよ陽葵。今日も可愛いわねぇ」
「あ、おはよう。華乃子ちゃん⋯⋯ってなんかクマすごくない?!大丈夫?」
「え、やっぱ分かる?どうしよ〜今日合コンなんだけど」
彼女は私の同期でプログラマーの関華乃子ちゃんだ。
背中くらいの長さの黒髪をかき分けたその姿はかなり気が強そうに見えるものの、話してみると意外とそうではない。
だけど見た目のキリッとしたカッコ良さから、かなり勘違いされやすく怖がられることが多いのを悩んでいる。
だけど本当は結構おちゃめなところもある可愛らしい子だ。
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