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ぱっと、ありすが目を開けると、ベッドのなかでした。自分の部屋、そこでずっと眠っていたようでした。
昨晩降り続いていた雪はやみ、太陽が昇り始めていました。雪にそまった世界を太陽が光り輝かせています。
悲しみのなか、不安な夜を過ごしていたありすでしたが、黒い夢を乗り越えて、朝を迎えることができたのです。
* * *
「ありす。これ、おばあちゃんから」
おばあちゃんのお葬式が終わった後、お母さんがありすに何かを手渡しました。
それは淡い緑色の宝石がついたペンダントでした。黒い夢のなか、黒焔の城でありすが身につけていたものと同じでした。
「ヒスイ?」
「あら、よく知っているわね。翡翠のペンダントよ。おばあちゃんのお気に入りだったの。形見にもらってくれないかしら」
ヒスイの話していたことが、ありすの頭のなかで繋がりました。
なぜ今まで気づかなかったのでしょうか。
おばあちゃんがいつも身に付けていたペンダントのことをありすはすっかり忘れていました。
「おばあちゃん、ありがとう」
ありすはペンダントをにぎりしめ、そう言うと、心のなかでヒスイに語りかけました。
「ヒスイ、助けてくれてありがとう。これからもわたしを見守っていてね」
おばあちゃんがくれた笑顔を忘れないように、生きていこう。
ありすは心のなかでそう強く願うのでした。
<おしまい>
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