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山口が参拝し終わると、真白が近づいて来て「上まで登りませんか?」と言ってきた。この薬王院から先は、山頂まで急な登りだ。
「嫌なら一人で降りて下さい。私は一人で山頂に行きます」
「一緒に行く。コケにされて、さようならは御免だ」
山口の言葉を聞くと、真白はニヤリとした。
また、真白は速いペースで山を登って行く。山口は、そこで気が付いた。
親睦会の時は、あんなにヘロヘロで途中で脱落までした真白が、すいすい歩を進めている。自分は年齢の分、負けている。
山口も少し意地になって、息を弾ませながら後を追った。
真白は山頂広場の入り口で山口を待っていた。
山頂広場に辿り着いた山口は、そこでバッタリと倒れ込んだ。
「まいったか!」
その真白の声で山口は顔を上げた。
腰の両脇に手を当てて、仁王立ちした真白がドヤ顔で山口を見下げていた。
「これでリベンジは終わり!ちゃんと話しましょう」
真白は、しゃがみ込んで山口に手を差し出した。
その手に縋って山口が起き上がると真白はザックからウォーターボトルを出して渡してきた。
真白はボトルを二つ用意して背負っていた。自分の分も出すと美味しそうに水を飲んだ。
山口はヘロヘロになりながら、ボトルに噛り付いてガブガブ水を飲んだ。
飲みながら納得をした。
・・・そうか。リベンジと言うよりは『お仕置き』してたんだ・・・
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