9、初詣

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 山口が参拝し終わると、真白が近づいて来て「上まで登りませんか?」と言ってきた。この薬王院から先は、山頂まで急な登りだ。 「嫌なら一人で降りて下さい。私は一人で山頂に行きます」 「一緒に行く。コケにされて、さようならは御免だ」 山口の言葉を聞くと、真白はニヤリとした。  また、真白は速いペースで山を登って行く。山口は、そこで気が付いた。 親睦会の時は、あんなにヘロヘロで途中で脱落までした真白が、すいすい歩を進めている。自分は年齢の分、負けている。 山口も少し意地になって、息を弾ませながら後を追った。  真白は山頂広場の入り口で山口を待っていた。 山頂広場に辿り着いた山口は、そこでバッタリと倒れ込んだ。 「まいったか!」 その真白の声で山口は顔を上げた。 腰の両脇に手を当てて、仁王立ちした真白がドヤ顔で山口を見下げていた。 「これでリベンジは終わり!ちゃんと話しましょう」 真白は、しゃがみ込んで山口に手を差し出した。 その手に縋って山口が起き上がると真白はザックからウォーターボトルを出して渡してきた。 真白はボトルを二つ用意して背負っていた。自分の分も出すと美味しそうに水を飲んだ。 山口はヘロヘロになりながら、ボトルに噛り付いてガブガブ水を飲んだ。 飲みながら納得をした。 ・・・そうか。リベンジと言うよりは『お仕置き』してたんだ・・・
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