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真白に色々尋ねてくる他部署の女は多かった。
そうやって、「問題外」の真白から情報を吸い上げて恋愛と言う業務外活動が活発に行われている様だった。
真白は、言っても良いことと言わない方が良いことの区別は分かっていた。
ただ、自分が「問題外」の枠に入っていることに一番めげた。
私は「敵」にさえならない。
皆は誤解している。私は私なりに「一般企業」に合わせている。
社会人になって奴隷になった気分だった。
学生時代までの自由な発想、服装、行動。全てが此処では嫌われる。
周りが分かりやすい価値観の人間ばかりになって、それに付いていけない自分を責めた。
毎日、モデル制作が出来る。それだけが心の拠り所だった。
モデルに関わる技術者は10人以上いて、5人ずつくらいの班になる。数種類のモデルを図面を見ながら制作する。プラントモデルだ。
もちろん、新入りの真白はサブのサブの下っ端だった。
真白は、入社して1か月後には班に正式に配属された。
そこで、班長の山口という32歳の男に恋をした。
勿論、片思いだ。
なんで好きになったのかなと何時も真白は思う。理由が分からない。お付き合いまでたどり着いたことが無いから、どうやって近づくのかも分からない。
22歳の真白は、山口の大人なところが好きになった。山口は独身で彼女無しらしい。
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