6、頂上の景色

1/1
前へ
/15ページ
次へ

6、頂上の景色

「よっしや~!」 頂上に着くと真白は大声で叫んだ。怖いものなしの気分だった。ぴょんぴょん飛び上がって、いきなり儀式を始めた。 高尾山は、修験道の霊場だ。 手で印を結びながら、九字切りをした。 「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前!」 人目を気にしないのが、真白の個性だった。コレのせいで「女」に見られない。容姿以前に「変な人」なのだ。 隠しているつもりでも保守的な人間にはバレていた。  真白は、変わり者揃いの美校の中でも、かなりの変な人だった。それを押し殺して生きるのは無理だと、この霊山、高尾は教えてくれた。 頂上に居合わせた人たちは、少し引きながらも笑ってくれた。 冷笑では無かった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加