高尾山

７、正体を晒す

　会社には、既に年末で辞めると届は出してあった。
高尾山から帰って、モデル制作の同僚に退職を告げた。
　その頃から、服装も変えた。髪もカットして元のように染めた。流石にメッシュはしなかった。
　化粧も学生の時はかなり凝ったメイクをしていた。ブス見えのベーシックメイクは止めることにした。
　通勤時の服装もしたい格好をした。会社の中では作業着だ。問題はない。
　７キロ痩せて、更にオシャレな服が着こなせるようになった。真白のオシャレは自分に似合う服だ。無難な男ウケを狙った服装は大嫌いだった。モードスタイルになった。

　話すと「変な人」だとバレるので、会社では無口な子を演じていた。その軛が取れて饒舌になった。嫌われてもいい。

　だって、来年からは違う会社。
年が明けたら転職する。転職先は独立系のデザイン事務所だ。親は怒ったけれど、ついでに、これを機に一人暮らしもすることになった。

　もう直ぐ退職だからなのか、チームのみんなも面白がってくれる。ひょっとしたら、最初からこうしていれば良かったのかもと真白は思った。

　同じ頃、山口さんと美沙の婚約が破談になったと知らされた。美沙は、とっくに会社からは居なくなっていたので大した噂にもならなかった。