7、正体を晒す

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 社食で真白が一人でランチを食べていたら、山口班長が声をかけて来た。 「隣、いい?」 「オッケーです!班長!」と真白は言って敬礼をした。 山口は、狸うどんが乗ったトレイを隣の席に置くと真白の隣に座った。 「私は婚約を破棄したんだ。だって、美沙の正体が分かっちゃった・・・二股どころか三股かけられてた・・・ごめんなさい。美沙と一緒になって失礼なことをして・・・本当にごめんなさい」  山口が、何故今になって、こんなことを言うのか真白には分からなかった。 「了解っ!」と言って、また敬礼をした。 居心地が悪くて真白には、これが精一杯だった。 山口は下を向いて消え入るような声で言った。 「こんなこと、今更言っても遅いのかも知れない。でも・・・会社を辞めても会えないかな」 真白は、ゆっくりと言葉を返した。 「好きでしたよ。前は。でも、今も好きかどうかは分かりません。なんで好きだったのか理由も分からない。最初から分からなかったんです。 多分、山口さんが見ていた私も、私が見ていた山口さんも、本物とは違うんじゃないですか?」  それだけ言うと真白は席を立った。
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