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俺の近所には、凄く旨い和食屋がある。
安い、旨い、早いで、結構人気の店だ。おすすめの、だし巻き卵は、少し半熟ふわふわでやっぱり旨い。だからついつい今日は、出前まで頼んでしまった。
しばらくしてチャイムが鳴るので、扉を開ける。
「こんにちは『和食極み旨い』です!出前をお届けにあがりました。先生!」
「あっ」
そこに居たのは、在学中に家庭教師をしていた時の生徒の旭川さんだった、彼女は長い髪を編み込み、Tシャツにジーンズという格好だった。
「どうしたの旭川さん……」
「大学に入ってアルバイトをする予定だったので、先生が美味しいって言ってたから、ここにしちゃいました。はい、どうぞ」
旭川さんは、テキパキと料理を手渡してくれる。生徒の頃からコツを掴むとスイスイと学習してしまっていた事を思い出す。
「1800円になります♪」
「でも、女の子が出前はちょっと危なくない?、俺から店長にそれとなく言おうか?」
彼女の顔が少し赤くなる。
「お釣りの200円です。ありがとうございました。……私が、出前するのは、先生の所だけですので大丈夫です。なんか……ご夫妻とも、気を利かせてくれたようで……えっと……また来ます!ありがとうございました!」
慌てる彼女が心配になり、俺は玄関を出て下を見下ろしていると、うちのアパートから彼女が出て来て、俺の部屋を見上げてた彼女と目が合う。
「気をつけて帰れよ」
そう俺が言うと、笑顔で手を振りながら、彼女は「また来ます」と言って帰って行った。
「また来ます」って、出前を運びにまた来るのか、彼女が個人的にやって来るのか、それともただの言い間違えか……。
玄関を閉めて、リビングまで来ると、ソファ座る事で冷静に、落ちつく事が出来た。
いや待て……昼ごはん……。
ちゃんと冷静になれ、俺、昼ごはんと彼女どうすればいいんだ……。って、昼ごはんは、普通に、美味しく食べればいいだろう……。
冷静になった、俺は昼ごはんを食べた。
三ヶ月後、俺から彼女に交際を申し込む事になった。
でも、俺は本当に冷静であったか? と言われれば、それはわからない。恋は、俺を浮き足たたせる。まあこの言葉は誤用に注意してって、彼女に教えてたが誤用の方でも、正しい方でも恋する様をあらわす時には、丁度いいかもな……。
……俺は、何を言ってるんだ……。とにかく、俺の浮き足たたせる日々は、続いている。
おわり
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