18最終話.触手との生活のススメ

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 触手と交合をしていると、美しくなって老化がかなり遅くなるのは、全員に当てはまることもわかった。蜜玉と交合のときの粘液が合わさることで、その効果が出るらしいことまではハルロスが突き止めた。  他の従業員との差……それを身に染みてわかっているのは婿になってない一人の従業員だろう。彼は俺と同じでケツを許すのが怖いらしい。でも、かなり心が揺れているのが見ていてわかるし、触手のことはめちゃめちゃ可愛がってるんだよな。思うに……彼が婿になる日も近いだろう。  もし触手によって得たその美貌を持って、研究所を出たいやつが現れても、俺はそれを許すつもりだ。魔力契約のおかげで、触手のことは口外できないからその点は安心なんだ。でも今のところ、ここを出たいという声は聞かない。みんな触手が大好きなやつらだからな。  あと、うちの薬は以前にも増して、卸して欲しいと希望が殺到している。薬だけじゃないと言ったのは、肌に塗るバームとかを新たに追加したり、夜の生活が潤う潤滑剤を少し作ったりしたからだ。大々的に売ってるわけじゃないが、身分の高い人なんかが買い占めようとしてくる。それがわかってて作ったわけだけど。  でも、予約販売はしてないし、昔から個人的に付き合いのある信用できるところ以外は卸さないで、ときどきゲリラ販売を続けている。うちの薬なんかの転売もあるようだけど、そこまでは責任もてない。見えないところでやってくれ。  俺たちは研究所や従業員の生活が保てる収入があればいいからな。商品を卸して、その売り上げで生活用品や希望のあったものなんかを購入して持って帰るのは俺の役目だ。  今の俺はいろいろな魔導札を書けるようになったから、昔の旅よりはかなり安全に移動できるようになった。しかも、触手たちのくれた獲物捕獲用の粘液を込めた袋がかなり役立っている。 「うぉら!」 「ぎゃああああ」  ほらな。  こうやって投げつけるだけで動きが封じられるし、下手するとあの粘液固まるからなぁ。盗賊たちに情けは無用だから、そこで固まって干からびようと知らないが。  俺もなんだかんだハルロスのおまけで老化が抑えられてて、肌艶がよくなってるもんで、顔は知られてるし狙われるんだ。  ただ、年々対策もバッチリになってきてるし、戦闘能力やら隠密能力やらのスキルが上がってるんで問題はない。あと、研究所にある程度近くなってくると、察知してこっそり出てきている触手が守ってくれることがあるのも心強いし。  なんとなく世の中にここのことが伝わりつつあるようだけど、防壁は触手製だから壊せないし、俺の認めた者しか中に入ることはできない。仮に忍び込めたとしても、触手に捕らえられるしな。双方の同意がなくても、強制的に口外できなくなるような魔力契約ができるように、鋭意勉強中ってところだ。  ここは今や触手の楽園だから。  俺は命ある限りハルロスや触手たち、婿たちを守ると決めたんだ。  心が純粋で真面目な気のいい男なら俺の眼鏡に適うだろうから、ぜひここに来て触手と生活してみてほしい。ケツを差し出すことに抵抗がないなら、きっともっといい思いもできるはずだ。  自分の血を引いた触手は可愛いぞ? 興味が出てきただろ? 「マカル、おかえりっ! 会いたかった!」 「ただいま。変わりはないか?」 「ん、また触手が増えたくらいかな」 「そうか! 新しい子たちはどこに?」 「たぶん……部屋に父親共々そろっているはずだよ。会う?」  俺はハルロスを抱き上げてキスをすると、一緒に新しい家族に会いに行く。  触手たちと婿たち、それに最愛のハルロス。  ああ……幸せだなぁ。  いつまでもこんな日々が続きますように。  -end-
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