喧嘩っぷる

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 縛られた両手首と足首には紐で擦れた痕ができていて傷薬を塗った後に包帯を巻かれた。顎やほほにも傷薬を塗られて、酷いところにはガーゼを貼ってくれた。 「洗濯機回してくる」  日高は脱衣所にあった洗濯機で自身と俺の制服を洗濯してくれた。 「ごめん。お前に合うサイズの服無い」  洗濯機は乾燥もしてくれるからもうしばらくすれば服は着れる。日高はバスタオルを腰に巻いたまま俺にはサイズの合わなかった大き目のTシャツをちょうどよく着こなしていた。下着は新品が無くて我慢してもらうことにした。 「それはいいけど。親帰って来ないのか?」 「……今日は帰って来ない」  親父は単身赴任で家にはいない。母親は看護師をしているから夜勤も多い。 「日高……帰るよな?」  日高が帰るとこの家に俺は1人になってしまう。キッチンでコーヒーを沸かしながらチラッと日高を見る。日高はそれに気が付いて、「帰ってもいいけど」と言葉を濁した。  カップに注ぎ分けたコーヒーを渡す。 「何で?」  俺が視線を送ったことだろう。 「あのさ……さっきのやつだけど……俺のこと知ってるみたいで……」
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