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「サエキアキ君はこんなところで何してんの?」
「フルネームで呼ぶなよっ」
「じゃあ、秋。何してるの?」
「見りゃあ分かるだろ。帰ってんだよ」
馬鹿なのかこいつ。編入してきて来たってことは、それなりに成績はいいはずだ。
「同じ時間に出たにしては遅いなと思って。もしかして徒歩?」
「んな訳ねぇだろ。電車通だ」
「え? 自転車の方が早いだろ?」
そうなのだ。電車は迂回経路だから、学校まで40分。自転車だと直進できるから20分ほどだ。歩きだと電車と同じくらいだが、朝から歩いて行きたくない。
「別にいいだろうが。お前こそこんなところで何してんだよ」
「ああ。俺は今から予備校」
「予備校ぅ? 学校帰ってからまだ勉強すんのかよ」
「別に普通だけど?」
しれっと言いながら、「馬鹿なのか?」思わず呟いてしまった。俺なんて宿題でさえしたくないってのに、更に勉強するとはよっぽどの勉強好きか馬鹿としか思えない。
「行きたい大学があるんだよ」
日高は「お前こそ馬鹿なんじゃねぇの?」と俺の金髪の頭を撫でた。
「なっ何すんだよっ」
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