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半そでのシャツのボタンをいつもより一つ多めに開けてすっかり暗くなった道を歩き出す。
いつも通る公園は周りを木々に覆われて外灯も少ない。今にも雨の降りそうな天気に公園の中を足早に進んでいった。
薄暗い公園。早足で歩いているせいで俺は人が近づいていることに全く気が付かなかった。
『ガツッ』
「ってぇ……」
後ろから何か硬いもので殴られて、俺は前のめりに倒れ込んだ。手に持っていた学生カバンは植え込みの方へ飛んで行った。
振り返ると目の前にはでっぷりとした男が立っている。その手には木刀のような棒を持っていた。あれで殴られたのかと思うと余計に後頭部の痛みが増した。
「あれぇ、気絶しなかったねぇ」
男はもう一度その棒を振り上げた。とっさに避けると今俺がしゃがんでいたところに『ガツンッ』と音を立てて振り下ろされた。
「な、何しやがんだよっ」
「逃げちゃダメだよ」
逃げなきゃ当るだろうがっ。
今度は横に棒を振ってきて、とっさにその棒の先を掴んだ。男も離さないから押し問答になるが、相手の方が明らかに体格がいい。体重を掛けられて押えられれば後ろに押されるしかなかった。
「可愛いねぇ」
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