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俺には学生時代、ライバルがいた。
俺と奴は、常に学年1番を争っていた。というより、奴が常に1番で、俺の前に立ちふさがる高い山であった。
しかし、不思議なことに奴は、テストの点数は良いのに普段の授業では何も答えられないし、抜き打ちテストではいつも0点。
俺は不思議に思って聞いてみた
「テストのときはヤマを張っているんだ。僕の張ったヤマは、100%当たるし、丸暗記は得意だからね。でも、記憶しても3日もしたら全然覚えていないけどね。不思議と、人に教えるとその山は外れるんだ。深夜にそこを暗記しようとしても覚えられず、教科書の違うところばかり覚えてしまう。次の日テストを受けると、覚えたところが試験に出ているんだ」
ライバル、山尾春雄は笑って答えた。
こいつはいつも明るく、ボッチの俺と違い友達が山のようにいる。
ヤマを張ったところで、毎回1番をとれるはずがない。毎日5時間以上勉強している俺は、半信半疑だった。
とうとう俺は学年1番になれず、高校を卒業して地元の私立大学へ入学した。
俺が落ちた、東京大学に山尾が入学したのをうらやみながら。
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