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「お馬鹿なの? ミネット……まぁでも、既成事実を作っちゃうのが一番簡単じゃない?」
「キセイジジチュ……? き、既成事実だって? ど、ど、どこが簡単なんだ!」
「目の前で発情できたらいいんだけど、そればっかりは読めないものねぇ。ミネットなら、ぺらっと脚とかチラッと胸とか見せちゃえば、イチコロだと思うの」
「ぺら……ちら……」
発情期はまだ少し先のはず。ヒートを起こしたオメガを目の前にすると、アルファもベータも発情し欲に抗えなくなるという。ミネットは学校では必ず抑制剤を飲んでいるし、ヒート期間中は魔法で隔離されたオメガ専用の部屋に籠もっていたから実感は湧かないけれど。
でもそんなの完全にルール違反だ。自分は望んでいたとしても、相手の気持ちを無視して強制的に番ったって幸せになれるとは思えない。
ミネットは普段から髪で隠れている自分の項を、そっと撫でる。ドレスと同生地で作られた淡いブルーのチョーカーは、喉仏という違和感をさり気なく隠してくれていた。
ここはもう、脚でも見せるしかない。こんな薄い胸を見せたところで色気もなにも無いだろうし。
脚を見せるのも本当ならはしたないことだけど、膝から下くらいなら、勇気を出せば……
「先輩が脚フェチだといいんだけど」
「……なにもしなくてもめろめろだと思うわよ」
めろめろにさせられたらいいなぁ。そうすれば、自分がミネットだと打ち明けてもなんとか受け入れてもらえないだろうか。
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