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 庭では秋のバラが見頃を迎えていた。赤だけでなくピンクやオレンジ、白など優しい色も多く、濃厚な香りが辺りに漂っている。  木立の中にあるガゼボは屋根のついた円形の空間で、小さいながら屋敷からの視線も届かない静かな場所だ。  木のベンチに座らせてもらい、ミネットは自分を落ち着かせるための深呼吸をした。レヴリー先輩は正面に跪いて様子を窺ってくれている。 「大丈夫? 体調が悪いのかい」 「れっレヴリー様! 私のことが……カルミナのことが、好きですか」 「いや……ん? どういうことだ? 君はミネットだろう」 「えっ」  ……バレてた……!  思い切って訊いたのに当たり前のように指摘され、目の前が真っ暗になる。せっかくの計画が……ばかみたい、自分はなんて滑稽なんだろう。 「……最初から分かっていたのですか」  悲壮感を滲ませた表情で尋ねると、先輩は頷いてミネットの隣に腰掛ける。  どうして先輩はなにも言わなかったのだろう。あの場で放り出されてもおかしくなかったのに。 「ミネット……俺は」 「僕ではだめですか……! 先輩が妹を望んでいることは知っています。でも、似ているでしょう? 女性らしい体つきではないけど、でも、子どもは産めます。ずっとお慕いしてきたんです」  ああ駄目だ。ぜんぜん駄目。しなを作って誘惑してから、気持ちを伝えるはずだったのに……先輩を目の前にすると、みっともなく縋り付くことしかできない。  
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