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「あ、来たかも」  客人の来訪を告げる声が聞こえて、二人で窓から下を見る。数日前に別れたばかりのレヴリー先輩とそのご両親であろう人たちが、馬車から降りてくるのが眼下に映った。  彼は初めて見る姿をしている。学校のローブでも普段着でもなく、成人貴族らしい華やかなスーツ姿だ。モノトーンを基調として装飾は華美すぎず、チーフの差し色は勿忘草色。 「よし、行ってくるね」 「応援してるから。パパとママに怒られるときは一緒よ?」 「うん。ありがとう……カルミナ」  両手を繋いで瓜二つの双子は見つめ合う。生まれる前から一緒にいたからか、相手の幸せは自分の幸せにも繋がると確かに感じるのだ。  ミネットは、妹のためにも幸せを手に入れたい。
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