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 ミネットが得たものは勉強の機会だけではない。本来なら領地を出ずに一生を終えるはずだった自分が外の世界を見る機会、年齢や家柄を問わず友人を作る機会を得た。  それに……好きな人まで、できてしまった。  二学年上のレヴリー先輩と出会ってからというもの、寮での過ごし方や広い校舎の近道、試験の傾向などさまざまなことを教えてもらった。正直、休みの日には同級生よりも一緒にいる時間が長かったし。  発情期明けも、休んでいた期間のノートをなぜか先輩が集めてくれていたりして、本当にずっと助けてもらっていたのだ。  レヴリー先輩は秀才のアルファとして校内では有名人だった。短い紺碧の髪に、意志の強そうな黒曜の瞳。ミネットが隣に並ぶと彼の影にすっぽりと収まってしまうほど背丈も大きくて、近くにいるとどうしようもなくドキドキした。  誰もが憧れる人なのにそれを驕らず、いつもミネットに対しては紳士的で優しい。一緒に過ごす時間が積み重なっていくほど、彼に対する気持ちは憧れから恋へと膨らんでいった。  だが、恋には唐突に終止符を打たれた。告白は中止だ。期末試験が終わり先輩が卒業すれば、彼は妹と結婚してしまう。  四年も掛けて求婚するほど先輩が妹を望んでいたのなら、しかもそれを両親が認めているのなら、諦めるしかない。    顔は似ていても、自分は所詮男だ。レヴリー先輩はカルミナを選んだ。カルミナは大好きで大事な妹だ。  妹が望むのなら……ミネットは潔く身を引こうと、痛む心から目を背けて決意した。  ◇
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